ドラマ『JIN-仁』のロケにも使われた場所
今回は、ドラマ『JINー仁ー』の撮影で使われたこともある『旧吉田家住宅歴史公園』。
再放送から半年近くしか経っていなかったので、どのシーンに出てきたかすぐに思い出すことができた。
1つは『長屋門』。南方仁が長崎で医学生にペニシリンの講義をしていた『精得館』の門に使われていたはず。
もう1つが、『新蔵』で、こちらは坂本龍馬がグラバー邸から武器を運ぶシーンで使われていたはずだ。
確かにここは絵になる場所があちこちにあって、いろいろとロケなどに使うには良さそうなところだ。
そして、貸し出す姿勢は国重要文化財になってからも変わらないみたいだ。その文化財に指定されたのは10年くらい前の話だったような気がする。
入場料は210円
さて、ここは利根川に面した台地の上に位置している柏市花野井地区というところにある。
この場所に相応しい雰囲気の駐輪場の立て看板があるので、そこにちゃんと自転車を停めて、立派な長屋門をくぐり入場料を210円を払って中に入る。
この長屋門は、天保2年(1831)建築で、国指定重要文化財。全長25m、幅5mにも及ぶ巨大なもの。門構えは総欅造りで、扉は欅の一枚板。
以前に訪れた時は、入場料を払うことなく入ることができた気もするが、勘違いかもしれない。まあ、いずれにしても210円で入れるのだから悪くない。
吉田家って?
ところで吉田家は農業を営んでいた代々名主の職を務めた家柄である。
更に醤油醸造業に進出したり穀物商を営むなど在郷商人として成長したようだ。
他にも乗合自動車や北総鉄道の開発などなどさまざまな分野に進出。
当時は九万人が訪れたという柏競馬場(今の豊四季団地)誘致に尽力したりもしている。
それ以外にも江戸幕府御用牧として開設された小金牧の管理にも携わり、野馬奉行の下で牧士に任命され士分格の地位が与えられていたという。
要するに激しく立派なお家柄というわけだ。
現存する建造群は、江戸末期から明治期前半にかけて継続的に造られていったもので、8つの建物が国指定重要文化財になっている。
敷地内には、入ることはできないが、今の吉田家が住んでいるのであろうステキなお屋敷が少しだけ見える。これもかなり立派なものである。
敷地の左の道を行くと、今住んでいるであろうお家の、いかにも豪邸の門がある。
今お住まいの方は確か43代あたりだったはずだ。あのウィンブルドンでアン清村とペアでダブルス優勝を果たした沢松和子さんが嫁いでいる。
敷地内の蔵たち
さて、長屋門から中に入ると、東西に蔵がある。昔は米蔵として使われていたようだ。
西蔵・向蔵
左の『西蔵』は今では『長屋門カフェ』になっている。その先には主に宝物類を納めているという『向蔵』。
向蔵は天保4年(1833)、長屋門ができた二年後に完成したもの。国指定重要文化財。いくつかある蔵の中でも最も格式の高いものになっている。
このカフェを利用するだけなら入場料はいらないみたいだ。
飲み物だけでも良いし食事もできる。ここのハヤシライスは、昔柏駅の近くでその後旧沼南町に移転して営業していた西洋料理『富士見軒』のシェフが監修したものらしい。
その富士見軒はすでに閉店してしまったようだが、ある意味このカフェでその味が引き継がれたということになる。
東蔵
右の『東蔵』の前には、江戸時代から明治時代に使われた消火道具の龍吐水など、いくつかの道具が展示されている。
軒先が結構深いのは、荷物が雨が降ったりした時でも濡れずに済むようにということなんだろうか。
道具蔵
その先には、主に建具や醤油醸造の道具や日常品などを納めていたという『道具蔵』がある。
慶応3年(1867)のもので、これも国指定重要文化財。
新蔵
長屋門から向かって右斜め前にあるのが、『新蔵』で、主に農具類を納めている蔵。
天保4年(1833)のもので、こちらも国指定文化財。
壁にかけられている梯子なども、当時のものだそうだ。
井戸
庭には安政3年(1856)から慶応3年(1867)までの12年もかけてつくられたという庭井戸がある。
井戸屋形は銅版画を参考にして復元したもので、昔のものではないが、良い雰囲気である。
主屋
そしてメインとも言うべき主屋が正面にある。嘉永7年(1854)に施工の20メートルに及ぶ茅葺のすごいお家だ。
大きくは三つに分かれていて、真ん中の突き出た部分は帳場座敷、右手には式台のある玄関、左手は土間という感じ。
この建物は靴を脱いで上がって見学することができる。
土間
入るのは左手の土間のところ。
ます囲炉裏がある。復元したものだそうだ。囲炉裏には、茅葺き屋根の防虫や防水性を高め、柱や梁等木材の含水率を下げて、腐食を防ぐ効能がある。
毎日ではないが、この囲炉裏も定期的におこなっていて、12-3月の間、毎週木曜と土曜だけ、10-11:45に火入れが行われるようだ。
囲炉裏の奥にはかまどがある。
見上げると広大で重厚な梁組。
屋根は茅葺のままだ。下から見ると厚みがすごい。銅葺の屋根にしたりせずに、そのまま茅葺を保っているのは素晴らしい。
屋内
土間から中に入ると、所々に資料何展示されている。例えば、主屋を建て替えた際に古い主屋の大黒柱を棟札にしたもの。
江戸に出荷する関東地方造醤油家を相撲番付に見立てた番付表。吉田家は西前頭筆頭に記されている。
帳場座敷
主屋南面に増築された2間張り出した三畳間の帳場座敷は、縁のない琉球畳が使われている。昔は、この座敷の周りに板塀が設けられていたらしく、それは外から見えにくくする為だったようだ。
主屋の中に展示されている銅板を見ると、当時のその様子が描かれている。
緑色のガラスがはめられているのも、同じように外からは見えにくくする為。
ここの東面には床の間があって、床柱は皮付きの丸太を用いている。
式台・ゲンカン
先へ進むと式台のある玄関。
この玄関は身分の高い客人用のもの。
間は10畳もある。
奥の襖には芭蕉布が用いられていて表も裏も共に山に雲海が描かれている。
渡り廊下
先に進むと渡り廊下。
コの字になっている。
それを進むと書院へと繋がっている。
廊下の途中の景色はなかなかステキである。
書院
書院は木造平屋建で屋根は寄棟造の桟瓦葺き。
当時は客間として使われていたみたいだ。
途中、釘隠しをいくつも見かけるが、これもまたステキである。
座敷を二室、東西に並べて、その周りに縁を廻らしている。
東の部屋には一間半の床の間。左右に違い棚と書院。
ここは羽生善治棋聖と深浦康市王位が対局した第82期棋聖戦五番勝負の第一局の対局場になった場所で、その時の写真が飾られていた。
違い棚の上の天袋の小襖には狩野派による絵が描かれている。
手の込んだはめ込み式欄間格子など観ていて楽しい。
仏間・納屋・新座敷
先に進むと仏間がある。
この裏側が納戸になっていて以前は入れた気がしたがこの時は入れず。
また新座敷が奥にあるのだが、そこも立ち入り禁止になっていた。
というわけで…
昔々、国の重要文化財になった時以来、久しぶりに訪れてみたが、やはり楽しいところだった。こういった建物が好きな方は結構楽しめると思うが、そうでない方には少し退屈かもしれない。
でも、ドラマのロケなどにも使われるような雰囲気の良いところだから、1度くらいは試しに訪れてもそんなにつまらなかったとはならない気がするけどどうでしょう?
基本情報
所在地:千葉県柏市花野井字原974-1
交通1:JR柏駅西口
→東武バスで東急ビレジ・柏たなか駅・柏市立高校行き「花野井神社」下車
~徒歩約6分
交通2:JR北柏駅南口
→東武バスで東急ビレジ行き「花野井神社」下車~徒歩約6分
交通3:つくばエクスプレス柏たなか駅
→東武バスで柏駅西口行き「花野井神社」下車~徒歩約6分
開館時間:午前9時30分~午後4時30分
入場料:大人210円
※団体(20人以上)170円
※60歳以上110円(団体90円)
※大学生以下・障害者は無料
購入日より1年間有効のパスポート(期間中何回でも入園可)あり
※大人600円 60歳以上400円
休館日:月曜日(月曜日が祝日のときは翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:無料駐車場あり(駐輪場もある)
トイレ:敷地内にあり(道具蔵の先)
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