布施地区 布施弁天
新四国相馬霊場八十八ヶ所と周辺スポットポタリングは、
柏市布施地区から。
68番札所、
いわゆる布施弁天と呼ばれる紅竜山松光院東海寺。
概要
807年(大同2年)、
空海が嵯峨天皇の勅願により創建したという。
平将門の乱の際、
本尊弁財天を松の木の上に避難し難を逃れたことから松光院とも称される。
本尊は、
弁才天。
寛永寺弁天堂(不忍池の弁天堂)・江島神社(もと岩本院、金龜山與願寺)と共に、
関東三弁天のひとつに数えられ地名から布施弁天とも称される。
入口
正面石段左前には、
新四國第六十八番の札所塔。
その横には、
千葉県指定 本堂・鐘楼・楼門とある。
平成十八年(2006年)3月14日、
本堂・鐘楼・楼門が県指定有形文化財(建造物)になっているのだ。
あとは、
境内の案内板もある。
これを見ると、
やはり布施 妙見大菩薩も敷地内だったようだ。
あけぼの山農業公園も以前は敷地だったが、
寺の改築費を捻出するために柏市に売却している。
お寺だけれど、
手前に大きな鳥居もある。
さて、
急な石段を上がっていく。
楼門
まずそこには、
楼門がある。
扁額には、
最勝閣とあり縁に亀とか珊瑚とかいろいろ彫られていて可愛い感じのものになっている。
説明板もちゃんとあるので、
読んでみる。
千葉県指定有形文化財(建築物)
楼門
楼門は、
文化7年(1810)の建立で、
間口3間(一階部分20尺・約6m)、
奥行き2間(一階部分12.8尺・約3.9m)の2階建て、
屋根は入母屋造の桟瓦葺です。
一階部分は、
漆喰で白く塗り固められていたと思われ、
竜宮城の門のような形をしています。
ただし、
この部分は現在はコンクリートに変えられています。
また、
軒下には、
竜、
麒麟、
亀、
松、
鶴といった素木造りの彫刻がはめ込まれている点も特徴です。
建築の大工棟梁は、
布施村の藤十郎という人物でした。
このような重圧な建築のできる名工がこの地域にいたということは注目されます。令和4年8月 柏教育委員会
楼門 説明板
竜宮城の門のような形と言われても竜宮城の門なんて見たことないんだけど、
でも何となくわかる。
軒下の彫刻は、
こんな感じ。
左側。
真ん中。
右側。
楼門手前両脇には、
大正六年(1917年)の常夜燈。
どっしりとしていて、
なかなか立派なものだ。
門の壁には但馬の国筒江の里に伝わる伝説
―布施弁天のいわれ―という説明板もある。
これは、
なかなか読んでいて面白かった。
但馬の国筒江の里に伝わる伝説
―布施弁天のいわれ―千葉県柏市布施に紅竜山松光院東海寺という名刹がある。
但馬の国筒江の里に伝わる伝説―布施弁天のいわれ― 説明板
大同二年(八〇七)七月七日の早朝、
湖の中から虹色の龍が現れ、
たちましにして島が出現し、
日が没するころにはおおきな振動と共に不思議な雲が島の周辺にたなびいた。
そのときどこからともなく現れた弁財天がいうには
「私は但馬の国朝来郡筒江村より来りてこの島に降臨したり」と。
これより以降、
毎夜のごとく島には明るい炎が輝いていた。
弁財天が里人の夢に現れて述べるには
「私の住んでいた安らかな山は但馬国朝来郡筒江村にあり。
みるところ坂東武者はわがままにて欲が深く、
神仏を敬おうとする者少なし。
よってこの地に来たれり」と。
里人は島に渡り洞窟の中で光を放つ三寸余の尊像を発見した。
この尊像が弁財天であることを知った里人は、
歓喜のあまりに藁ぶきの小さな祠を構え、
尊像を安置し、
香華をたむけた。
弘仁年間(八一〇~八二三)、
弘法大師空海は各地を巡錫の途中、
この地に錫を止めた。
弁財天を仰ぎ見ると、
知恵・徳のある相にして慈悲の心あふれた像である。
じっと見ていた空海は
「ああ、
これは以前、
但馬筒江にいたころに彫刻した尊像である」と語った。
筒江には、
香林庵という庵があり、
この尊像は、
空海が香林庵に止宿していたころに彫刻したものであった。
空海の弟子の雲龍が里人からその顛末を聞き、
かんきのあまりこの地を布施と名付け、
紅竜山東海寺を開創した。
この後調停の庇護もあり、
弘仁十四年(八二三)堂塔大伽藍を奉健し、
荘園も寄進され勅願所に指定された。
その幾多の盛衰を経て、
昭和四十九年(一九七四)四月、
往年にまさる復興を遂げた。
ちなみに、
ご本尊に弁財天は秘仏で、
御開帳は巳年(十二年一度)に行われます。
楼門は総欅二階建で、
階下に四天王・階上には釈迦三尊を安置している。
持国天(東)・広目天(西)、
増長天(南)・多聞天(北)。
逆側からの、
楼門。
この階上部分、
こちらに釈迦三尊が安置されているわけだね。
三重塔
この楼門の右手には、
三重塔がある。
昭和四十八年(1973年)の建立なので、
まだまだ新しい。
中には、
不動明王像。
この三重塔からの楼門の眺めは、
ちょうど階上部分が同じ目線で見られるのでなかなか良い感じなのだ。
手水舎
楼門の先の石段をさらに上がると、
まず右手には手水舎。
龍も控えめだし、
シンプルなつくり。
手水舎自体は古そうだけど、
手水鉢はまだ新しいものなんだろう。
本堂
そして、
本堂。
屋根は本来茅葺きであったものを、
現在は茅葺形の銅板葺きに変えられている。
本堂までは階段ではなくて、
スロープになっているのが珍しい。
説明板があるので、
読んでみる。
千葉県指定有形文化財(建築物)
東海寺本堂(附 棟札1枚)
本堂は、
享保2年(1717)に建立されたもので、
間口5間(38.5尺・約11.6m)、
奥行き6間(42尺・約12.6m)の規模となっています。
屋根は、
入母屋造で、
正面の屋根に据破風、正面の軒には唐破風付きの向拝が作られています。
本来の屋根は茅葺きでしたが、
現在は茅葺形の銅板葺きになっています。
内部は、
本尊を安置する内陣と礼拝・儀礼用の外陣に区画され、
周囲には高欄を付けた縁が巡ります。
中世以来の密教仏堂の形式を受け継ぐとともに、
多くの部分に彫刻や彩色を加えるなど華やかな近世的な作り方が見られる点が特徴とされます。
布施弁天の繁栄は利根川河岸のひとつである布施河岸やその対岸の戸頭村と布施村を結ぶ七里ヶ渡という水上交通の要衝に近接していることが大きく影響しています。
棟札には本堂の建立年月日や施主等が記されており、
これにより本堂の建築年代がわかりました。
施主は願主本多正武(藩主)、
江戸の古家家、布施村後藤家の名がありました。令和4年8月 柏教育委員会
東海寺本堂 説明板
そういえば久々に
房総の魅力500選のプレートがあった。
これまで、
鳥博物館と滝田家住宅で見たことがあったものだ。
あとは、
柏のむかしばなしのQRコード付きの塔も久々。
ここが舞台のものが2話、
紅い龍と布施弁天と目つぶしの絵馬のおはなし。
さて、
本堂だ。
以前はこの鮮やかさがどうも苦手だったが、
最近はそんなに嫌な感じはしない。
意外に、
これはこれで良いなと思えるようになった。
ここまで鮮やかだと、
却って潔くて気持ち良い。
本堂の中には、
紅龍殿の扁額。
絵馬がずらりとならんでいてなかなか興味深いのだが、
どうやら撮影禁止みたいなのでこれだけ。
両側に馬の絵馬があるが、
これが柏のむかしばなしの目つぶしの絵馬だろう。
あと紅龍殿の扁額の左にあるのは、
全部写っていないが将門公が弁天様に戦勝を祈願しているところというはなしもある。
観音堂
本堂手前右には、
観音堂がある。
柱に、
観世音菩薩の札。
堂内は、
こんな感じ。
宝物殿
こちらは、
宝物殿。
2008年に布施弁天1200年祭で公開されたようだが、
次に公開されることはあるのだろうか?
もしかすると1300年祭の時だったりして、
1度見逃したら100年に1度じゃあ見るのは無理だよなあ。
鐘楼
宝物殿の先にあるのが、
鐘楼。
先ずは、
説明板。
千葉県指定有形文化財(建築物)
鐘楼(附 棟札1枚)
鐘楼は、
棟札によると文化15年(1818)の建立です。
八角形(一辺11.4尺・3.4m)の石積基壇(基礎)の上に、
十二角形に柱を建て、
周囲に円形の縁を巡らし、
その中央に鐘を吊り下げています。
屋根は銅板葺きの入母屋造で、
軒下には十二支などの彫刻が配置されています。
下から八角形の基壇、
円形の縁、
十二角形に配置された柱という組み合わせとなっており、
非常に独創的な形の建造物となっています。
装飾に多くの彫刻が使われている点とあわせて、
近世の寺社建築の多様なあり方を示しています。
設計にあたったのは、
矢田部(現茨城県つくば)の名主飯塚伊賀七、
大工棟梁は今関嶺蔵です。
伊賀七は「からくり伊賀」といわれるように、
当時としては奇抜な木製和時計や五角堂など数々の品々を発明し、
この鐘楼の設計図とともに展示されています。令和4年8月 柏教育委員会
鐘楼 説明板
とにかく、
いつ見てもすごいなあという言葉しか出てこない。
鐘楼の脇には、
鐘楼銅板屋根修理工事が行われた時に修理前に屋根に乗っていた鬼瓦がある。
正面から時計回りに見上げていくと、
こんな感じ。
白い部分をよく見ると、
それぞれ丸の中に文字が彫られている。
下から見ると、
逆さなのだが。
読んでいくと、
涅槃経にある4句の偈だとわかる。
寂滅為楽、
とある。
次は、
諸行無常とある。
次は、
是生滅法とある。
そして、
生滅滅已とある。
一番下の部分には、
唐子遊びの彫刻。
蝶捕り?
ミミズクと達磨の雪だるまづくり?
龍の船に乗っての奏楽?
司馬温公の瓶割。
鶏を捕まえている?
花車を引いている?
獅子舞?
お習字?
まあ題材がよくわからないけれど、
見ていてなかなか楽しい。
お堂と石造物
本堂裏の方には、
お堂や石造物がいくつも並んでいる。
茶屋の先には、
辯財天の石祠や石碑などが固まっている。
お堂は、
聖天堂。
説明書きが、
ちゃんとある。
堂内は、
こんな感じ。
その左には、
愛染明王。
説明書き。
堂内。
お堂の間にあるのが、
ぴんぴんころり地蔵。
説明書きに依れば、
ぴんぴん(健康で長生き)ころり(寝込まずに楽に大往生する)という願いから安置しているらしい。
その隣にも、
お堂がある。
こちらは、
虚空蔵菩薩。
説明書き。
堂内。
隣は、
観音像。
なにやら、
石造物がいろいろ。
更に、
お堂が続く。
こちらは、
大日堂。
大日如来を、
お祀りしている。
隣には、
新四國六十八番の札所塔などなど。
68番
そして、
68番大師堂。
説明書き。
御詠歌額。
堂内。
というわけで…
今回の新四国相馬霊場八十八ヶ所と周辺スポットポタリングは、
柏市布施地区から。
布施地区に4つある札所の1つ、
布施 布施弁天 68番。
正式には、
紅竜山松光院東海寺。
千葉県有形文化財(建築物)に指定されている楼門・本堂・鐘楼、
これはどれも必見だ。
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