日本で唯一の鳥類について総合的に研究・展示する我孫子市鳥の博物館 Photo Report

手賀沼サイクリング東半周コースのスタート地点だった『手賀沼親水広場・水の館』のはす向かいにあるのが『我孫子市鳥の博物館』。

日本で唯一の鳥類について総合的に研究・展示する鳥の博物館

▲  鳥の博物館外観

実はこの博物館は、日本で唯一の鳥類について総合的に研究・展示する博物館なのだ。

30th Anniversary

▲  鳥の博物館企画展ポスター紹介

その博物館も今年で30周年を迎える。

ちょうど我孫子地区公民館と市民図書館の複合施設アビスタの1階ストリート壁面では鳥の博物館30周年記念で企画展のポスターがいろいろ展示されていた。

開館のきっかけは山階鳥類研究所

▲  山階鳥類研究所案内板

この博物館が開館したきっかけは、鳥類専門研究所で、ヤンバルクイナの発見で知られ、渡り鳥と絶滅危惧種研究で世界的に有名な『山階鳥類研究所』。

この研究所を招致、1984年(昭和59年)この地に移転してきたのをきっかけに、平成2年(1990年)5月22日に開館した。

鳥の博物館の横の道を入って少し行くと左手に研究所の建物が見える。

▲  山階鳥類研究所外観

それで博物館はもともとは研究所の標本を展示する施設として構想されていたらしい。

ただ、研究施設なので一般には公開しないということで、後に独立した市立博物館構想になっていったようだ。

そういうわけで、ここは名前の通りに市が運営していて、研究所とは別の団体。

とは言っても、基礎的資料提供や展示アドバイス、展示標本の収集と制作などの協力があり関係は深い。

山階鳥類研究所とは?

▲  山階鳥類研究所の門にあった『房総の魅力500選』のプレート

ちなみに山階鳥類研究所は、皇族出身の元侯爵の山階芳麿が、自邸に設けた山階家鳥類標本館を母体に設立した研究所。

なので皇室とは縁が深くて、総裁に礼宮殿下(現秋篠宮皇嗣殿下)を迎え、研究員として紀宮清子内親王殿下がお勤めになっている。

ジャパンバードフェスティバル

そういえば、毎年このあたりでは、鳥をテーマにした日本最大級のイベント『ジャパンバードフェスティバル』が開催されている。

残念ながら今年はオンラインによる一部のイベントのみの開催になったようだ。

いつもなら鳥・自然環境に関する研究・活動の発表や鳥の彫刻・絵画・写真展、子供工作教室、船上バードウォッチングやスタンプラリーなど、意外に楽しめるものだが、今年はまあ仕方がないだろう。

鳥の博物館へGo!

▲  鳥の博物館入口

正直、さほど鳥に興味があるわけではなかったが、そこは『日本で唯一』だし、自転車で手賀沼沿いを走っていると沢山の鳥を見掛けるので多少なりとも興味が出てきたこともあり、1度は足を運びたいと以前から思っていた場所である。

ただいつでも行けると思うとなかなか行かないもので、最近になってやっと初めて訪れた。

建物は水の館とはまた違うが、個性的なもの。

1Fの受付でチケットを購入して階段で2Fへと進む。

ジョン・ジェームズ・オーデュボンの図版

▲  ジョン・ジェームズ・オーデュボンの図版1

階段の踊り場にはジョン・ジェームズ・オーデュボンの図版が展示されている。

▲  ジョン・ジェームズ・オーデュボンの図版2

ジョン・ジェームズ・オーデュボンはアメリカの画家であり鳥類研究家。北アメリカの鳥類を自然の生息環境の中で写実的に描いた博物画集『アメリカの鳥類』(Birds of America)で知られている人だね。この画集は、1854年の黒船来航の際、ペリーが徳川家定に本書を献上しているんだって。

鳥の博物館常設展示

常設展示は、

1 手賀沼の自然と鳥たち

2 鳥の世界

3 人と鳥の共存

というテーマで構成されている。

鳥を生物学的な視点から紹介し(鳥の世界)、その目で地域の鳥と自然を観察し理解を深め(手賀沼の自然と鳥たち)、人と鳥が共存する知恵をさぐろう(人と鳥の共存)というテーマ展開。

手賀沼の自然と鳥たち

▲  手賀沼のジオラマ

2Fでは四季の手賀沼の様子をジオラマで見ることが出来る。結構リアルな感じで、そういえばこんな感じだなと思いながら見ていく。

▲ 冬の手賀沼
▲ 田植えの頃の水田
▲ 夏のヨシ原
▲ 晩秋の洲

鳥の世界

▲ 3Fエントランス

復元展示

3Fに行くと『鳥の世界』。

▲ 始祖鳥化石復元展示

アーケオプテリクス、始祖鳥の化石の復元展示から始まる。

始祖鳥より古い時代の鳥の化石はまだ発掘されていないみたいだけど、現在、始祖鳥は鳥の直接の祖先とは考えられていないみたいだ。

現生種と始祖鳥の直近の共通祖先が最初の鳥とされているらしい。

▲  恐鳥類ディアトリマのレプリカ

ここでは絶滅鳥類の復元がかなりおもしろい。

新生代の暁新世から始新世にかけて繁栄した恐鳥類ディアトリマ(ガストルニス)のレプリカは目を惹く。

その姿はまるでFFのチョコボとか風の谷のナウシカのトリウマみたいな感じだ。

▲  モアの骨格レプリカ

ニュージーランドにかつて生息していたダチョウ目に属する大型の走鳥類モア。

ニュージーランドには天敵の哺乳類が居なかったことからどんどん進化していったみたいだ。

天敵が居ないと進化は巨大化の方向に向かう。確かにデカい。

▲  プロトプテルム(ペンギンモドキ)の骨格レプリカ

ペンギンのような姿をしていたプロトプテルム(ペンギンモドキ)の骨格レプリカ。

約3,400万年前~約2,300万年前に生息いていた飛べない鳥。水中で魚を獲って食べていたようだ。学名の意味の『泳ぐ翼』はきっとそこからなんだろう。

▲  ドードーのレプリカ

マダガスカル沖のモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類ドードーのレプリカ。

『不思議の国のアリス』に登場してコーカス・レースをする鳥だね。

存在がわかってから100年もしないで絶滅してしまった。天敵の殆どいないモリーシャス島に人間が入ってきたのが要因。

▲  エピオルニスの卵

アフリカのマダガスカル島に17世紀頃まで生息していたと考えられているエピオルニス。地上性の鳥類史上最も体重の重い鳥であったと言われているが、そのエピオルニスの卵。

マダガスカル島の固有種だったが、開発による生息地の消失や狩猟が原因で絶滅したと考えられている。 またもや人間のせいで絶滅だ。

確かに絶滅してしまうのは変化についていけなかったからかもしれない。だから仕方のないことなのかもしれない。

でも、直接であれ間接であれ、人間が多くの絶滅を引き起こしたのは間違いではないだろう。そう思うとなんだか悲しくなるな。

世界の鳥コーナー

▲  世界の鳥コーナー1

さて、次の世界の鳥コーナーのスペースはなかなかスゴい。

▲  世界の鳥コーナー2

現在世界中には1万種ほどの鳥が生息しているが、その世界中の鳥、26目157科を1科1種を目標に収集した標本がある。数は268点。

▲  世界の鳥コーナー3

壁一面に鳥の剥製がズラリと並んでいるのは圧巻だ。

その他コーナー

▲  巣と卵のコーナー

柱のところには巣と卵コーナーには卵がサイズ順に並べられている。

その他コーナー

次のスペースには、飛翔コーナーや飛ぶしくみや羽毛のしくみ、骨のしくみや鳥にまつわる道具類など、さほど興味がなくても意外に面白いコーナーがいろいろ。

▲  トキの剥製

野生ではもう見ることのできなくなった日本のトキの剥製がある。1926年長野県南佐久郡岸野村(現 佐久市)で採集されたものだ。

鳥の博物館企画展

▲  企画展のシール

常設展以外に企画展示がある。年に数回入れ替わるもので、例えば2020/2/1-8/30(最初は6/14までだった)は第86回企画展『バンディング展 ~足環でわかる鳥の渡り~』が開催されていた。

バンディングとは個体を識別するための標識を鳥に付けて渡りや寿命を調べる標識調査のことだ。

▲  通し番号付きの足環1

バンディングでどのように調査が行われているのか?や、

▲  鳥たちの渡りや生活

バンディングによって明らかになった鳥たちの渡りや生活が紹介されていて、

▲  通し番号付きの足環2

これもなかなか興味深かった。

鳥の博物館情報

▲  鳥の博物館外観
鳥の博物館 - Google マイマップ
鳥の博物館

住所:千葉県我孫子市高野山234-3

電話番号:04-7185-2212

営業時間:9:30~16:30

休業日:[月] 月曜が祝日の場合、翌平日が休館
    [12月29日~1月4日]
    館内整理日

料金:中学生以下・70歳以上無料
   高校生 200円 ※団体割引(20人以上):2割引き
   大学生 200円 ※団体割引(20人以上):2割引き
   大人 300円 ※団体割引(20人以上):2割引き

▲ 3館共通チケット

   ※購入日から1か月以内に『白樺文学館』と『杉村楚人冠記念館』3館共通500円もある

まとめ

▲  鳥の博物館階段の踊り場の鳥

そんなわけで、『我孫子市 鳥の博物館』はコンパクトな博物館ながら意外に充実していて思っていた以上に面白かった。

鳥に興味があれば更に面白いんだろうけど、特に興味がなくてもそれなりに楽しめるに違いない。

もう1度見たくなるものもあったし企画展が新しくなったらリピートしようと思う。もしよろしければ1度足を運んでみて下さい。

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