石坂孝雄: しり語り
石坂孝雄
―石坂孝雄: しり語り 我孫子アートな散歩市 チラシ
しり語り
ただシンプルに曲げた陶管は、
一見すると尻のように見える。
この陶管達を展示・展開する。
彼等は何を語り始めるだろう。
志賀直哉邸跡 庭と書斎
志賀直哉邸跡、
緑雁明緑地。
ここは、
かつて志賀直哉が住んでいた場所だ。
住んでいた家は残念ながらとっくにないんだけど、
書斎は復元されてそこにある。
今回ここに展示されているのが、
石坂孝雄さんの『しり語り』。
しり語り
サイズや色の違いはあるけど、
シンプルに曲げた陶管が並んでいる。
確かに、
尻のようにも見える。
でも、
尻ではなくて良かった。
これだけ尻が並んでいたら、
ちょっと怖い。
ただ怖いけど、
それはそれで面白いかもしれないけど。
そして、
母屋の間取りが復元されている石畳の上。
レールみたいな台があって、
そこには木彫りの座っている人間らしき2体が向かい合っている。
車輪みたいなものが付いているので、
動かすことができるんだろうか?
陶管はこの石畳の上や、
その先にある池(水が殆どなくなっていた)にも並んでいる。
手前の庭にも、
書斎の方まで連なっている。
書斎まで、
陶管辿ってみる。
中を覗くと、
中にも作品が展開されている。
そして、
ここにも向き合って座っている人らしきもの。
一緒に、
曲げた陶管もある。
とにかく、
陶管だらけ。
いつもの場所が、
随分と印象が違う空間となっている。
落ち着いた雰囲気の場所が、
なんだか少し騒がしくなっている。
作者は、
この陶管を『彼等』という。
彼等は何を語り始めるだろう、
と。
もし彼等が何かを語っていたとしても、
その声はボクには届かない。
耳を澄ませてみても、
何も聞こえない。
ただ風の歌は、
微かに聞こえた。
でも、
もしかするとそれは風の歌ではなくて彼等が語る声だったのかもしれない。
書斎、
床の間。
そこには、
津田尚石さんの掛け軸。
タイトルは、
『林』。
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