日常の駅の中にある非日常の美術館-東京ステーションギャラリー

Tokyo Station Gallery

東京駅の中にある美術館

東京駅丸の内駅舎が辰野金吾の設計でつくられたのは1914(大正3)年のこと。

東京駅

Tokyo Station Gallery

日本の鉄道の上りと下りの基点であり、多くの幹線0キロポスト設置がされている『中央駅』だ。

鉄道には路線毎に起点からの距離を示す距離標がある。距離標はキロポストと呼ばれていて、ゼロキロポストはその起点。

東京駅にはそのゼロキロポストがあちこちに設置されている。

ただ意識していないと気付かないままだったり、実は見たんだけど記憶に残っていなかったりという地味なものではある。

でも改めて一つ一つ見つけていくのも案外楽しいかもしれない。

東京ステーションギャラリー

Tokyo Station Gallery

さて、そんな東京駅に美術館がある。それが『東京ステーションギャラリー』だ。

1988年、駅を単なる通過点ではなく、香り高い文化の場として提供したいという願いを込め、東京駅丸の内駅舎内に誕生した美術館。

Tokyo Station Gallery

駅舎には2つのドームがあるけど、正面向かって左のドームの左端に入口がある。電車に乗って駅に着いたら丸の内改札を目指す。改札を出るとすぐ右手だ。

開催中の展覧会の大きな告知があるのですぐわかるし、今どんな展覧会をやっているのか?だって一目瞭然だ。

ここは煉瓦壁の展示室を持つ美術館として親しまれていたけど、2006年の東京駅復原工事に伴い一時休館。2012年の秋、6年半ぶりと結構な時間を経て新たなスタートを切っている。

東京ステーションギャラリーレポート

今までなら入るとすぐ右手に券売機があるのでそこでチケットを購入するスタイルだったが、今ではもちろんお馴染みのローチケ。

1F

中に入ったら受付の先に無料ロッカーがあるのでそこで荷物を預けると良い。ちなみにロッカーは1Fにしかないので注意。

空きがない場合やロッカーに入らない大きな荷物があったら、受付で預かってもらえるかもしれないから遠慮せずに訊いてみよう。

トイレは2階の多機能以外は各フロアにある。

いつ訪れても落ち着く場所だ。たくさんの人々が行き交う場所にあることを忘れてしまう。

3F

最初にエレベーターで3Fまで。東京駅丸の内駅舎は最初鉄骨煉瓦造りの3階建てだったのに、戦後は2階建てになってしまった。

だからこの会場の3Fは2007~2012年の駅舎保存・復原工事で失われた部分が復元された場所になる。

会場は大して広くないが、それが却って落ち着く。展示されている作品はもちろん楽しめるのだが、この空間自体も結構楽しめるのだ。

螺旋階段

Tokyo Station Gallery

1・2階は可能な限り駅舎創建当時の構造にしている。

なので、構造レンガや鉄骨がむき出しになっているんだけれど、それがまた良い感じなのだ。

Tokyo Station Gallery

3Fから2Fへは八角塔に位置する螺旋階段を下りていく。

見上げると旧館から移設されたキレイなステンドグラスとシャンデリアを見ることができる。

Tokyo Station Gallery

3Fは白壁だが、2Fへと降りていくとレンガの壁になる。

Tokyo Station Gallery

復元部分と創建時からの構造部分とスイッチするところだ。

回廊とミュージアム・ショップ『TRAINART』

2Fを見終わると行き交う人々を見下ろす回廊に出る。ここには東京駅丸の内駅舎の歴史を紹介する模型や写真資料が展示されているし、人の流れを見ているのもなかなか楽しい。

ここにはミュージアム・ショップ『TRAINART(トレニアート)』がある。『TRAIN』と『ART』をくっつけた造語らしく、逆から読んでも『TRAINART』なんだよね。

ここにはもちろん今見てきた展覧会関連のグッズもいろいろと置いてあるが、それ以外にも鉄道デザイングッズなんかもあって見ていて飽きない。

再び螺旋階段を下って進んでいくと最初に入ってきた場所に戻る。外に出れば、当たり前だけど東京駅で非日常から日常の世界に戻ることになる。

独特の企画

Tokyo Station Gallery

ここで繰り広げられる展覧会はなかなか独特なものが多くて結構好きなんだけれど、よく電車の中吊りに広告が出ている。

そこに使われているキービジュアルやタイトルでつい足を運んでしまうことが多い。

過去に行った展覧会例

Tokyo Station Gallery

最初にここを訪れたのは『大野麥風展「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち』だったはず。『大日本魚類画集』という木版画に描かれた魚たちは本当に素晴らしかった。

長いタイトルだけど『プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在 Private Utopia : Contemporary Art from the British Council Collection』が印象深い。

そうそう『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』も良かったし、最近では『もうひとつの江戸絵画 大津絵』も楽しかった。

よく考えたら、知らないアーティストだったりしても、どれもこれも中吊りに誘われていった気がする。中吊り効果大なのだ。

最後に

いずれにしてもこの空間そのものを感じるだけでもとても心地良い。その上で他ではなかなか見られないような企画があったりする。

しかも見て回るのにそんなに時間がかかるわけでもなく、ふらりと気軽に行ける。

東京駅からどこか旅行に行く時や帰って来る時に、ここを訪れる時間をわざわざつくって訪れるのも良いと思う。

何だか知らない聞いたことも見たこともないなんていう展覧会でも案外楽しめるはずだ。

開館時間は基本10:00~18:00。ただ金曜日は20:00まで開館(入館はそれぞれ閉館30分前)なので、仕事帰りに行ける方はたまにはこういう場所に立ち寄るのも悪くないと思う。

もしも時間があれば、すぐそばの『KITTE』の中にある『インターメディアテク(IMT)』も面白い。

東京大学が1877(明治10)年の開学以来蓄積してきた学術標本の常設展示を見ることができる。

これがなかなかどうして入館料無料とは思えないようなもので非常に楽しい。

三菱がジョサイア・コンドル設計で1894年に建設した『三菱一号館』を復元した赤煉瓦の建物、『三菱一号館美術館』も行きたい場所だ。

是非1度行ってみてほしい。

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