そもそも手賀沼って?
都心から一番近い天然湖沼、
手賀沼。
千葉県北部の我孫子市、
柏市、
印西市、
白井市にまたがる沼だ。
かつては実は海の一部だった手賀沼
もともと1,000年ほど前の手賀沼は手下水海と呼ばれていて、
香取海という内海の一部だったそうだ。
要するに、
手賀沼はかつては海だったということだ。
江戸時代の初め、
徳川家康の命によって1594年に東京湾へと注いでいた利根川を銚子で太平洋へ注ぐようにするという大工事『利根川東遷』が行われた。
これによる上流からの土砂の堆積や天明の浅間山噴火による火山泥の堆積などの影響で、
香取海は徐々に陸化していって利根川の下流域にはいくつもの湖沼が生まれることになる。
手賀沼の周辺には牛久沼や霞ケ浦や印旛沼などがあるけど、
そもそもこれらは1つだったものが分かれて今のようになったわけなのだ。
もともとはもっと大きかった手賀沼
やがて手賀沼は、
平仮名の『つ』の形をした大きな沼となった。
ただ戦後になると、
食糧増産や治水の為に1946年から干拓事業が進められる。
そして北と南の2つの沼に分断されて、
今のいわゆる手賀沼と下手賀沼と呼ばれる2つとなる。
この2つを結ぶ手賀川こそ、
かつては同じ沼だった名残なのだ。
干拓以前の手賀沼の面積は、
1,180ヘクタールもあったらしい。
それが1968年の工事が終わった頃には、
一気に650ヘクタールにまで縮小してしまった。
その後、
更に宅地・道路・水辺公園・遊歩道等の造成で50ヘクタールが減少。
現在は元々のほぼ半分、
約600ヘクタールとなっている。
昔々はとても水がキレイだった手賀沼
昔々の手賀沼はうなぎは獲れるし泳げるし水をすくって飲むことだってできたし、
とにかく水底が透けて見えるほどキレイなものだったらしい。
もしもはもちろんないけれど、
今でももしそうだったとしたらこの辺りはもっと違った様子になっていたに違いない。
今でこそ日本一の汚名は返上できたようだが、
それでもまだまだ水面を見ると決してキレイとは言い難い。
ただ周辺には自然がたくさんあるし公園も充実しているし、
遊歩道や自転車道も整備されているし道の駅や温泉まであるのだ。
他にも白樺文学館や志賀直哉邸跡、
杉村楚人冠記念館、
旧村上邸別荘、
鳥の博物館といった地味だけれど興味深い場所もある。
なので、
晴れた日にわざわざやって来て散歩したりジョギングしたり自転車に乗ったりして過ごすのも悪くない。
手賀沼でサイクリング
そんな手賀沼は、
1周がだいたい20kmほど。
歩いたり走ったりだとちょっとキツイかもしれないが、
自転車に乗ってペダルを漕ぐ分には大して疲れることもなく1周できるはずだ。
そもそも行った道と同じ道をまた戻ってくるよりも、
違う道を走ってぐるりと1周して元に戻ってくる方が何となく楽しい気がするでしょ?
1周3つのゾーン
それで、
手賀沼1周は大きくは3つのゾーンに分かれる。
先ず、
南側は『手賀沼自然ふれあい緑道』。
手賀曙橋から柏市北柏橋までの、
全長約9.4kmの歩行者と自転車が分離されている整備された道。
北側は、
手賀沼公園から手賀沼に沿って進む遊歩道。
手賀沼漁業協同組合フィッシングセンター付近までの約5.3キロメートルにわたり、
歩行者と自転車の分離はないが遊歩道が整備されている。
北西の一部だけは車道を通らなければならないが、
道も広く路肩の幅も充分なので車の横を走っていても怖くはない。
場合によっては、
車が殆ど通らないハケの道を行くコースもある。
もちろん、
自転車道や遊歩道に信号はない。
それに坂道のない平坦な道のりなので、
とても楽ちんなのだ。
無料駐車場や車を止めておける場所が何か所もあるので、
車に自転車を積んできても良いし周辺の施設・公園にはレンタサイクルもあるのでそれを借りて周っても良いだろう。
手賀沼レンタサイクル情報
手賀沼周辺には7ヵ所のレンタサイクルステーションがある。
貸出期間:4月~9月…9時~17時 (貸し出しは16時まで) 土曜日・日曜日・祝日
10.11.3月…9時~16時 (貸し出しは15:00まで) 土曜日・日曜日・祝日
貸出料金:大人500円、子供300円
※身分証明書が必要 ※県民の日(6月15日)は無料
貸出場所:北柏ふるさと公園
道の駅しょうなん
セブンパークアリオ柏
手賀沼フィッシングセンター
サイクルパーク我孫子南
手賀沼公園
手賀沼東半周コース
もちろんいきなり1周は…
というなら半周コースもある。
手賀大橋を使えば、
東西半分だけ周ることだってできちゃうのだ。
というわけで、
随分と前置きが長くなったけど今回は手賀沼の東を周る半周コースの紹介。
手賀沼親水広場と水の館と河童噴水
スタート場所はいくつもあるが、
車で来るなら手賀大橋を渡る手前左に駐車場がある公園『手賀沼親水広場』から遊歩道に入るのが良い。
ここはそこそこ広いので、
まず停められないといったことはないはずだ。
ここには手賀沼1/5000のミニ手賀沼やじゃぶじゃぶ池、
水の広場といった親水施設があって敷地内には特徴的な建物『水の館』がある。
この特徴的な建物のデザインは、
あのベルばらの池田理代子氏という話を聞いたことがある。
この方は、
実家が柏で喫茶店を営んでいたそうだ。
ご近所繋がりのご縁かどうかはわからないけれど、
この建物をデザインしたとかしないとか。
そしてそのデザイン通りに建てられたとか、
デザインが不評で他の人のものになったとかとんがり屋根を丸い屋根に変えて建てられたとか…。
まあいろいろな話があるが、
真相はわからない。
いずれにしても、
結構印象的な建物であることは間違いがない。
その水の館には地元野菜などを使った地産地消のレストラン、
あびこ農産物直売所『あびこん』、
手賀沼学習コーナー、
プラネタリウム、
展望室などがあり意外に楽しめる。
道を挟んだところには日本国内唯一の鳥専門の博物館『鳥の博物館』があって、
ここも実はかなり楽しめるので寄り道するのも良いだろう。
それらを左手に、
遊歩道が沼沿いに整備されている。
道幅はそれほど広くないので、
自転車で走る時はスピードを出し過ぎずゆっくりと進んでいきたい。
手賀沼で見ることができる鳥たちのイラストが可愛い距離表示が、
ちょうどここから始まる。
親水広場正面あたりから沼を見ると、
河童の像が見える。
この河童たちは、
彫刻家馬場ゆう子氏の作品。
この方の祖父は渋谷の初代ハチ公像、
父は二代目ハチ公像を創った人なのだ。
この河童の像はかつては噴水だったが、
最近は噴水の機能を果たしているところにお目にかかったことが全くない。
もう復活することはないのだろうか?
とても残念だ。
北岸遊歩道
遊歩道を進んでいくと、
左手には釣り堀や広場がある。
途中にベンチもあるから、
気に入った場所で休憩するのも良い。
風の音や鳥の声や羽ばたく音など、
耳を澄ますといろいろな音が耳に飛び込んでくる。
途中に『花蓮』という看板が左に見えるが、
そこを左に入っていくと夏は藕糸蓮が見られる場所だ。
その先には、
蕎麦の花が見られる場所もある。
大きな木の下にはボクのお気に入りの場所の1つ、
木を囲むようにベンチが3つ。
ここで休憩すると、
とても気持ちが良いのだ。
やがて、
水生植物の保護で設けられた高野山新田地区植生帯がある。
このあたりのベンチに座っていると、
鳥の姿をたくさん見ることができる。
そのまま進めば、
北側の手賀沼遊歩道入口の1つ『滝下広場』。
ここにはかなりの高い確率で見掛ける猫がいて、
人が居ても全然気にせずそばまでやって来て悠々と眠っていたりする。
その少し先にはタイルが埋め込まれ、
ほんの少しだけ沼に張り出した柵に囲まれたスペース。
景色はまあ悪くないが、
それほどでもない。
小さな橋のほとりの鳥たち。
左手にまた釣り堀がある。
沼の方に目を向けると船が何隻か見える。
ここの景色はなかなか良い。
その先にも良く猫を見掛けるポイント。
やがて道が二手に分かれるが、
どちらを選んでも構わない。
距離表示板が2,000Mのところあたりだ。
左に行くと少し高い位置で沼を見下ろす道。
右は沼沿いの低い道。
右側の道の途中には『手賀沼八景』の解説板。
大正時代の『千葉県東葛飾群誌』に載せられたもので、
手賀沼北方から眺めた景色が選ばれたもの。
それとは別に南からの八景の紹介されていて、
合わせて十六景もの景勝の地があったとのこと。
向かいは峠下広場。
東屋とトイレがある。
結局二手に分かれた道が、
低い道の方から上の道に上がって合流するすることになる。
このあたりだけではないが、
必ずどこかでコブハクチョウに出会ったりするのも楽しい。
ただ楽しいとばかりは言ってられないみたいだ。
近辺の稲を食い荒らすなど被害が拡大して厄介者となっている面もある。
それでも春には可愛い雛が生まれ人気者なのは間違いない。
難しいところだ。
このあたりで後ろを振り返ると、
大きな猫のように見える木がある。
トトロのようにも見える。
ビオトーブにはさまざまな鳥たちをみることができる。
バード・ウォッチングとかにはあまり興味はないけど、
それでもいろいろな鳥を見つけて眺めるのも段々と楽しくなってくる。
ビオトーブの先にまた分かれ道がある。
まっすぐの道はそのまま高い位置から右手に沼を見ながら進む。
坂を下る方は沼沿い。
下ったところには『モクトリ』の解説版。
モクトリとは沼の水藻とりのことだ。
獲った水藻は肥料として畑に撒かれたそうだ。
モクトリは力仕事で若者が船で沼に出る。
仕事を終えた若者は岸辺で一休み。
そこへ草刈りの娘がやってきて会話が始まり心が通いあう。
娘は想いを寄せる若者に心の証として手作りの綺麗な紐を贈ったという話が書かれている。
下の道を走ると途中にいくつものベンチがある。
ここで一服しながら本を読んだりする時間はとても気持ちが良い。
五本松下広場を過ぎたあたりには、
『手賀沼の鳥たち』というかなり劣化した解説版がある。
かなり色褪せているけど、
それでも随分いろいろな鳥が生息していることはわかる。。
その先で道が再び合流。
小さな橋があるが下を覗くと、
大概鯉が沢山泳いでいる姿を目にすることができる。
そのまま進んで行くと手賀沼の東の端っこになる。
先が見えないカーブを曲がる。
注意しないと向こうから来る人や自転車に衝突する可能性があるから気を付けたいポイントだ。
進路は南へと変わる。
このあたりで半分ほどだけど、少し長くなり過ぎたので、この続きは次回に。
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