我孫子手賀沼ハケの道ポタリング…旧村川別荘

旧村川別荘母屋

旧村川別荘

昔々、このハケの道沿いの高台には多くの別荘があった。

でも、ほぼそのままの形で残っているのはこの『旧村川別荘』くらいだ。

今回はそんな旧村川別荘を訪ねてみよう。

門と池

旧村川別荘の南門
▲ 旧村川別荘の南門

ハケの道の入口からしばらく走っていると、右側に立派な門が見えてくる。南門だ。自転車は門の手前の石畳のところに停めて中に入ってみよう。

旧村川別荘解説パネル
▲ 門の手前の石畳のところにある案内パネル

ここでは入場料を払うとか、入場に際するチェックなどは特にない。ただそのまま入って行けば良い。以前は市民ガイドの方がいろいろ説明して下さったが、今は難しいのかもしれない。

ちなみにこの南門は裏口。表玄関は斜面に建つ別荘のさらに上の一番高いところにある。最初に訪れた頃は、この門は確かまだなかったはずだ。

旧村川別荘の池
▲ 門をくぐると小さな池がある

門をくぐると正面には湧水を貯めた小さな池がある。

旧村川別荘の池の注意書き
▲ めだかからの注意書き

行けの脇の木には『この池に魚を放さないでください。めだかより』のお願いがある。まあちょっとしたユーモアだな。

母屋への階段

旧村川別荘の階段
▲ 母屋のある平場に続く階段を猫が横切った

右の竹林に思ったよりも急な細い階段がある。時々猫が居たりする。

旧村川別荘の階段から見える母屋
▲ 階段左手の竹林の先に母屋が見える

そこを上って行くと左手に建物が見えてくる。

旧村川別荘の母屋
▲ 母屋外観

階段を上りきると、そこは平場になっていて、いかにも昔の建物だなという母屋が正面に見える。

母屋

旧村川別荘母屋の玄関
▲ 母屋の玄関は裏側…『天簫』と書かれた扁額がかかっている

この建物の当時の主は西洋史の大家・元東京帝大教授の村川堅固氏。

旧村川別荘母屋の戸袋
▲ 昔の家によくある雨戸をしまう戸袋

熊本生まれで、熊本の第5高等学校在学中の校長が加納治五郎であった縁で、大正6年に加納治五郎が既に別荘を構えていた我孫子に別荘地を購入。

旧村川別荘母屋
▲ これがあるだけで中に入り込む光の量がちがうだろう

大正10年に我孫子宿の本陣が取り壊される話を聞きつけ、その一部を譲り受けて解体移築したものだ。昔は瓦屋根ではなく、茅葺屋根だった。

旧村川別荘母屋部分
▲ 手すりも味がある

村川堅固氏の後は、同じく西洋史学者の息子、村川堅太郎氏が引き継いでここを守った。

旧村川別荘母屋部分
▲ 母屋正面右手からも裏にまわれる

堅太郎氏が亡くなると、ここを国へ税金として納めなければならなったが、ご遺族の願いと市民の声に応え、市もここを何とか保存できないかと国へ働きかける。

旧村川別荘母屋部分
▲ 母屋の裏側(でも玄関があるからこちらが表かな)

そして、一度は例外的に更地にせずそのままの形で国へ物納、市が買い取るまで国からの維持管理委託を受け、平成13年に市がようやくここを買い取り今に至っている。ちゃんと残すことができて本当に良かったと思う。

旧村川別荘母屋部分
▲ この窓は床の間の横の窓にあたる~外壁の腰部分は杉皮が貼ってある

この建物、よくよく見るといろいろと面白い。

旧村川別荘母屋部分
▲ ゆらぎがある窓ガラス

建物の窓ガラスは、ゆらぎがあるから一見して昔のものだとわかる(もしかすると最近はそういう加工が施されているものがあるから、そういったものが混じっていたり、全部がそうだったりするかもしれないけど)。

旧村川別荘母屋部分
▲ガラスの向こうには和室が見える

昭和初期までのガラスの製造は、その技術不足から、歪みやゆらぎがあって、泡などの不純物も入っていた。でもそれが今見ると何とも味があって良い感じなのだ。

旧村川別荘母屋部分
▲ 中もなかなかステキなのだ

他にも古い建物だからこその味があちこちに見られるのが楽しい。

旧村川別荘母屋鍵隠
鍵隠し1
旧村川別荘母屋鍵隠し
鍵隠し2
旧村川別荘母屋鍵隠
鍵隠し13

もちろん中もなかなかステキだ。

旧村川別荘母屋屋内
▲ 書院の透かし彫り欄間
旧村川別荘母屋屋内
▲ 書院の障子

村川家所蔵写真絵葉書がいくつか額に入っているが、こんな時代があったんだなという感じだ。

旧村川別荘母屋屋内
▲ 村川家所蔵写真絵葉書に見る大正~昭和初期の我孫子

沼見ベンチ

旧村川別荘階段
▲ 沼見ベンチへの階段

母屋の左には更に上に向かう階段がある。

旧村川別荘沼見ベンチ
▲ 沼見ベンチが道の脇に現れる

その先には沼見のベンチ。

旧村川別荘沼見ベンチ
▲ ベンチがあるが眺めが良いわけでもない

ここには『百年前の我孫子と旧村上別荘』のパネルがある。

旧村川別荘沼見ベンチ解説パネル
▲ 『今から百年前の我孫子と旧村川別荘』のパネル

写真を見るとこの別荘の下には水田が広がり、その先がもう沼だった。当たり前だが、今とはまるで違う失われた風景だ。

邸内にはこれも今とは違って松の木が沢山あったみたいだ。

表玄関

旧村川別荘沼見ベンチ前の小路
▲ 更に小路を進む

沼見ベンチの先の小路を進むと表玄関が見えてくる。

旧村川別荘北門
▲ こじんまりとした表玄関

こじんまりとしたもので、下の門の方が立派だ。

旧村川別荘解説パネル
▲ こちらにも説明パネル

新館

旧村川別荘道しるべ
▲ 道しるべ

表玄関から入って右手は下りの階段になっていて、新館が姿を現す。

旧村川別荘新館
▲ 下っていくと新館が見えてくる

屋根が非常に印象的だ。

旧村川別荘新館外観
▲ 新館外観

この2つの建物は大して離れているわけではないが、昔は電灯もなく真っ暗だったから灯篭が置かれていた。

旧村川別荘新館-灯篭
▲ 新館に展示されている灯篭

凝ったつくりのその灯篭が新館に展示されている。

旧村川別荘新館外観
▲ 新館もなかなかステキな建物なのだ

この新館は村川堅固が朝鮮視察時の印象をもとにしてつくったものだ。

旧村川別荘新館外観
▲ 手賀沼が一望できたであろう広間側面外観

基礎は鉄筋コンクリート、

旧村川別荘新館外観
▲ 手賀沼が一望できたであろう広間の出窓外観

屋根は軽い銅板葺き。

旧村川別荘新館-バーナード・リーチの椅子
▲ バーナード・リーチデザインの椅子

中に入ると先ず入口にバーナード・リーチがデザインしたという椅子が展示されている。

旧村川別荘新館-村川堅固の著作
▲ 村川堅固の著作

他にもいろいろ資料があるが、なんといってもこの建物の左手にある一面ガラス張りの部屋が素晴らしい。

旧村川別荘新館-ジオラマ
▲ 周辺のジオラマ

当時は手賀沼が一望できたはずの広間の出窓。

旧村川別荘新館出窓
▲ 昔はきっと良い眺めだったのだろう

きっと目の前にはステキな景色が広がっていたんだろう。

というわけで…

今回はハケの道にある旧村川別荘の紹介でした。

いつ行っても、良いんだか悪いんだか人はあまりいないので静かだ。

ボランティアの方なんだろう、よく手入れされていていつ来てもキレイで本当に気持ちが良い。

いつ来ても、何回来ても、ここが残っていて本当に良かったと思えるところだ。

良く南口のところで入ってみようかどうしようか?という方を見掛けるが、間違いなく入ってほしいところである。

基本情報

開荘日:火曜日~日曜日(月曜日・年末年始は閉館。但し月曜日祝日の場合は、次の平日が閉館)

開荘時間:9:00~16:00(入場は15:30まで)

入場料:無料

場所:我孫子市寿2丁目27番9号 ※駐車場はなし

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旧村川別荘

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