
旧村川別荘の竹林

いつものように、
旧村川別荘の母屋へと続く階段を上がっていく。

竹に囲まれたこの階段、
やはりいつ来ても良い感じである。

きれいに手入れがされていて、
とても気持ちが良い。
石川美穂子 – 竹衣

そしてどうやら、
途中の竹の様子がいつもと少し違うことに気付く。

竹たちは様々な色のオーガンジーを纏っていて、
視線は自然にその色に向かう。

いつもはそこにない色が、
景色をほんの少しだけ変える。

それはほんの少しであって、
大きく変えるわけではない。

もちろん下から見上げる景色と同じ高さの視線で見る景色、
そして階段を上がり切ったところから見下ろす景色はどれもいつもと違う。

ただ竹の色に上手く溶け込んだその抑えられた色は、
とても竹たちに似合っているのであまり気にならないのだ。

きっとこの竹衣が脱がされても、
どこか記憶に残っていてそこにあるかのように見えるに違いない。

ところで竹たちは衣を脱がされたら残念に思うだろうか?
それとも「やれやれ」と村上春樹の物語に出てくる主人公のように呟くのだろうか?
村上作品の「やれやれ」の数

ちなみにこの作品には何の関係もない話だが、
村上作品に登場する「やれやれ」はいったい何回くらいなのだろう?
以前数えたことがあったが、
すっかり忘れてしまった。
ただ1番多かったのが『ダンス・ダンス・ダンス』だった気がするのだが、
果たしてどうだったろう?
最初に登場するのは『1973年のピンボール』で、
これは1回しか出てこなかったはずだ。
『風の歌を聴け』では1度も出てこないが、
『羊をめぐる冒険』では10回以上出てきたはずだ。
まあここでこんなことを書いていると、
まさに「やれやれ」になってしまうからもうやめておこう。
というわけで…
今回の『我孫子アートな散歩市』は、
N – 石川美穂子 – 竹衣。
良い感じに抑えられた色のオーガンジーを纏った竹たち、
いつもの景色が少しだけ違うのを見るのは楽しいものだ。
さぞかし竹たちも喜んでいるに違いない、
やれやれ。
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