安田侃 – 天泉
この手賀沼親水広場には、
子供たちが『歯みたいだね~』とか『石のかまくらだ~』なんて言いながら窪みに入っていく彫刻がある。
これは『我孫子アートな散歩市』として特に出品されているわけではないが、
我孫子にあるアートの1つではある。
この白い大理石の彫刻は、
世界的に知られている安田侃氏1994年の作品。
タイトルは『天泉』、
少し離れた場所に以前の千葉県知事の題字が地面に埋められている。
以前はもっと白かった印象があるのだが、
段々と色が変わってきている気がする。
いつも目にしているが、
なじみの風景とはいえやはり存在感はある。
風景に溶け込んではいるけれど、
そこにあることを意識せずにはいられない。
そして、
この大理石の質感はつい触れたくなってしまうよう。
もちろん作品に御手を触れないで下さいの類ではないから、
思う存分触っても問題ない。
触っているうちに、
天国の泉に吸い込まれそうになる。
ちなみにこれと同じ形のものが他にもあったはずだけどどこだったろう?
あと同じタイトルで形の違うものもあったはずだけど思い出せない。
ただこの方の作品を初めて見たことは覚えていて、
東京都庭園美術館の庭に『風』という作品があった。
こちらもやはり白大理石でできていて、
ここで開催された『安田侃野外彫刻展』を記念して設置されたものだ。
いずれにしてもこの方の作品がいつも見られるというのは、
なかなかステキなことだ。
まあ子供たちは誰が創ったのか?とかタイトルは何だ?とかには興味がなくても、
この存在そのものは気になるようでよく窪みに入って遊んでいるのを見掛けるのは微笑ましい。
アートではあるが、
ある意味遊具みたいなものでもあるというのは悪くない。
河童の像
この手賀沼親水広場の先の遊歩道の先の手賀沼に、
馬場ゆう子氏の河童の像がある。
これも『我孫子アートな散歩市』とは関係ないが、
やはりアートの1つであることには変わりがない。
4体の河童が、
ここでも円になっている。
それぞれが思い思いの姿で、
何となくユーモラスな河童は1度見たら忘れない。
忘れないが、
同じポーズをしてみろと言われたらできないかもしれない。
ちなみにこの4体は遠目だとブロンズ像のように見えるが、
実際にはFRP(繊維強化プラスチック)製。
だいたいこの像の周りには必ずと言って良いほど鳥の姿があって、
その光景がまた何とも面白いのだ。
そういえば作者の馬場ゆう子氏は、
渋谷駅の初代忠犬ハチ公像作者安藤照氏の孫であり二代目(今のやつ)の作者安藤士氏の娘だそうだ。
かつては噴水としての機能があったが、
今ではその機能は封印されているのが残念だ。
というわけで…
どちらも今回の『我孫子アートな散歩市』の作品ではないけれど、
逆に限定期間ではなくていつでも見られるアートなのだ。
何気なく通り過ぎている方も多いかもしれないけれど、
どちらも風景に溶け込んでいるとはいえ立派な作品なのだ。
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